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バーチャル研修時代の到来:専門家に聞くバーチャル研修の利点や進め方
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バーチャル研修時代がやってきた
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バーチャル研修が主流に
Q:安田さんは中国に駐在していますが、中国の状況はいかがですか?
バーチャル研修の二つの利点
Q:バーチャル研修が広まるのはなぜでしょう? 安田:バーチャル研修には、リアルな研修にはない利点が2つあります。その利点を説明する前に明確にしておきたいのですが、バーチャル研修とはEラーニングやライブ配信のことだと誤解している方が少なからずいます。私たちはバーチャル研修とは、「オンライン上でリアルタイムに皆が集まる参加型の研修」と定義しています。したがって、「バーチャル型SLII研修」は、リアルに集合する対面型研修とかなり近いことを行うプログラムになっています。 さて、利点の1点目ですが、対面型研修と同じような学習効果が得られながらも、会場費用や参加者の交通費・宿泊費がかからないので、割安で実施できることが、バーチャル研修の最大の利点です。 次に、2点目ですが、ホワイトボード機能やチャット機能を活用することで得られるライブ感は相当なものです。チャットに受講者が色々なことを書き込み、それを保存しておくことができるので、講師にとっては参加者の意見に関する膨大な情報が一気に入手できるというメリットもあります。対面式の研修では、発言する人が偏ってしまっていたり、声の大きい人の意見に左右されてしまったりということが起きますが、チャットでは多くの人の意見を平等に吸い上げることができます。バーチャル研修に「時間を忘れて没頭した」
バーチャルでは、参加者同士あるいは講師との距離感が出てしまうことを心配する人がいますが、実際にやってみると、耳が「大きな情報受信器官」として機能することで、多くの情報を受け取ることができることに驚かれる参加者が多いです。耳は、言葉という情報のみならず、講師や他の参加者の息遣い、感情、さらにいうと意図まで聴き分けることができます。もちろん聞き取ったことを言語化することは容易ではありませんが、しっかりと受信できます。結果、多くの参加者から「心が揺り動かされた」「時間を忘れて没頭した」「とにかく楽しかった」という声が多く出てくることもあるのです。
バーチャル研修の具体的な進め方
Q:アメリカでは、ケン・ブランチャード社も10年くらい前からSLII®をバーチャル型で提供してきましたし、バーチャル型はコロナ対応に限った話ではないということですね。 SLII®は「状況に対応して発揮するリーダーシップ・スキル」を実践的に習得するプログラムですが、バーチャル型では、どのようにして実践練習をするのでしょうか? 安田:リアルの対面型集合研修とほぼ変わらない形でやっていますよ。たとえば、部下の開発レベルに合わせたリーダーシップスタイルを活用しながら部下と話し合う練習では、まず、動画で上手く会話できている例とそうでない例を視聴し、ポイントを掴みます。そして、ペアに分かれて、与えられた状況に応じたロールプレイをしてもらい、最後に全員でチャット機能やホワイトボード機能を使って、ロールプレイの振り返りを行います。 このように、様々なバーチャルツールを活用すれば、一般的に実施している演習を、オンライン上でもクリエイティブに実施することが可能なのです。バーチャル研修の難しさは?
Q:一方で、バーチャル研修を実施する上で苦労する点は何でしょう? 安田:研修に集中していない参加者が出るかもしれないということでしょうか。参加者が内職していたり、ぼーっとしていたりしても、なかなか講師が気づけません。そこで、バーチャル型SLII®研修では、参加者の集中を切らさせない仕掛けがたくさん散りばめられています。例えば、最低でも5分に1回は、参加者がチャットに意見を記入する、画面にチェック―マークを付ける、指名して発言してもらう等、参加者から何か情報を発信もらう仕掛けがふんだんに盛り込まれています。エデュケーションとエンターテイメントを融合した「エデュテイメント」として、楽しくて画面から目が離せない、というコンテンツになっているのです。 それから、講師の話し方がとても重要になってきます。滑舌よく、適切なテンポとトーンで話すことで、参加者に影響力を与えていかなければいけません。準備した通りに進行するだけでなく、ライブならではの良さを最大限活かすことが必要でしょう。思わぬ反応、コメント、質問などを逆に活用して、進めるのです。 また、対面型の研修とちがって、講師はずっと座ったままで教えますが、それでも結構疲れます(笑)。ですので、参加者と一緒に1時間に一回、休憩を取りストレッチをします。バーチャル研修のカギを握る「プロデューサー」
Q:プロデューサーの役割も重要ですね? 安田:はい、これも対面型研修にはない重要なポイントです。プロデューサーは、研修実行のためのITプラットフォームを管理するだけでなく、研修中に、チャットの中の参加者の声を吸い上げるなど、講師のアシスタントのような役回りも担います。テレビ局やラジオ局をイメージしていただくと分かりやすいと思いますが、講師一人で「エデュテイメント」であるバーチャル研修を提供するには無理がありますし、するべきではないと考えます。ですから、講師とプロデューサーは、二人三脚で研修をデリバリーすることになります。ブランチャード・ジャパンには、プロデューサーの経験を積んでいるスタッフもおりますので、ぜひ相談してみてください。 バーチャル研修をご検討されたい方、以下の図をどうぞご参照ください。
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【アーカイブ無料視聴】あの有名企業社員はなぜ自分で考え行動できるのか~自発性を引き出す「エンパワーメント」の3つの鍵
2024年のHRカンファレンスでの講演「あの有名企業社員はなぜ自分で考え行動できるのか~自発性を引き出す「エンパワーメント」の3つの鍵」のアーカイブ動画を公開中
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