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リーダーシップ・部下育成

「個室がなく、幼い子供が二人いる私が在宅勤務をどう乗り越えたか」

はじめに

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ブランチャード公認マスタートレーナーの斎藤正幸です。Covid-19の大流行によりリモートワーク時代に入り、家族との向き合い方や接し方に苦労している方が少なからずおられると思います。リモートワークの成否は、個人の置かれた環境に大きく左右され、「家の環境」と、「(小さい)子供の有無」の2つの軸に分解できます。筆者は、仕事をする上で両軸ともマイナスな環境下で仕事をしてきました。

家族構成としては、フルタイムで働いている妻(私と同様に在宅勤務)、7歳(小学2年)と6歳(保育園)の娘。個室はなく、私はリビング又はダイニング(場合によっては、机も椅子もない寝室)で仕事をしています。

この様な状況下だからこそ、改めて「家族の重要性」にフォーカスし、組織開発コンサルタントとして家族と一緒に共同体的要素(「目に見えない情報やつながり」)を強化することに挑戦してみました。
その私の体験をブランチャードの研修プログラムの1つである「マネジメント・エッセンシャルズ」に出てくる「4つの主要スキル」に照らし合わせながら、紹介します。

小さい子供が家におり、且つ、まだ在宅勤務が続く環境下にいる方へ何らかのヒントとなれば幸いです。

2008

「なぜなぜ攻撃」・・・真実を伝える

「緊急事態宣言」が出て、3月上旬から5月末まで小学校も保育園も休園。利用していた学童はもちろん活用出来ない状況。「学校に行かなくていいの!」「わー、パパもママもお家にいる」「あそぼ!あそぼ!」とPCを開く間もなく二人の子供たちがすり寄ってくる。「パパもママも仕事だから二人で遊んでいてね」と言っても、子供たちからしてみると「家にいる=パパ・ママは休日」の感覚なので、数分経つと、また「パパ、仕事終わった?」と話してくる。

そこで、家族四人で、「なぜ、パパとママは、これから家で仕事をすることになったのか」「なぜ、子供たちは学校が休みなのか」を、寝る前に、電気を消して家族四人でベットの上で川の字になって対話しました。子供の「なぜなぜ」質問に夫婦で答えつつ、分からないことがあれば、「明日、皆で調べてみよう」などと話しながら、気づいたら子供たちは寝ていることも。その様な対話を初めの一か月間は2~3回程度行いました。極力、皆がリラックスした状態で、且つ、子供たちを説得するのではなく、納得感を醸成するように質問に対して皆で答えるように意識しました。

もちろん、子供なので、日中「パパ、遊ぼう」と何度か言ってくる場面もありました。その際は、「この間、皆で話したよね。コロナからお家を守る為に外にでないようにして、今日もお家で仕事をしているんだ。明日は、土曜だから、明日は遊べるからね」と、週末は遊べるよと希望を見せつつ、子供たちへ「なぜ」を繰り返し伝えることをしました。そのお陰なのか下の娘は、「私は、コロナをやっつける警察になる!」と、お医者さんではないのかなとツッコミをいれたくなるような、ほっこりするようなコメントを言いつつ、当初に比べて、そこまで「遊ぼう」のわがままは言わなくなりました。

「素敵なプリンセス」・・・気づきを引き出す

保育園が長期閉園になる為、6歳の娘は保育園の最後日に、ある手帳を作成し持って帰ってきました。それは「素敵なプリンセスになる為の手帳」です。「素敵なプリンセス」は、保育園の先生が「どんなお姉さんになりたいの?」の問いかけから、娘が自分で考えて決めたタイトルでした。また、「素敵なプリンセスになる為に、長いお休みの間、何をすればいいかな?」の問いを受けて、いくつか約束事を手帳に書いてきました。私も妻も、なりたい姿と約束事を娘と一緒に確認し支援することを約束しました(余談ですが、久しぶりに指切りげんまんをしました)。

そこからの娘の変化に正直驚きました。約束事の一つに「夜の9時に寝る」がありました。8:55になったらトイレにいき、ベットへ向かうことを、娘は一度も約束を破ることなくやり続けました。自分から、「今、何時?」「8:55になったら教えてね」と自主的に動いていました。

また、「帰宅時には手を洗う」の約束事もありました。この約束はうっかり忘れてしまうことはあったのですが、私が「素敵なプリンセスは、お家に帰ってきたら何するんだっけ?」と尋ねると、ハッと気が付き自分で手洗いに行ってくれました。改めて、目指したい姿やその為の行動を自分で描くことの重要性とその効力を娘から学んだ瞬間でした。

「心」の現状把握・・・聴いて学ぶ

仕事では、現状把握というと業務の進捗や成果の状況などを確認すること。家族あれば役割分担やスケジュールの把握(今日は、誰が、何をするのか。子供の相手はどちらが、どのくらい出来るのか)があります。私の家では、遊ぶ場所や勉強する場所、そして、仕事をする場所をその日の朝に仕事の状況を鑑みて決めていました。

この様に家で仕事を円滑に実施する為の現状把握を行う一方で、今回、挑戦したのが、特に子供たちの「心」の現状把握です。外で遊ぶことも出来ず、お友達とも会えず、家にいるけどパパやママは仕事で遊んでくれない。この様な状況下でも、子供達には「心」も「体」も健康であり続けて欲しいと願っています。
その為、起床時と就寝時にこの様な声がけを始めました。朝は、子供たちが起きてきたら、私の方から「おはよ!今日は、元気かな??」「今日は何するの?」と笑顔で訊くようにしました。

普段と変わりなければ、子供達から「おはよ。元気だよ」や「ごはん、食べたい、おなか減った」など、元気な言葉が聞けますが。たまに、「・・・ぎゅーって(ハグ)して」と甘えてくる時や、ぐずぐずと寝起きが悪い時は、「何か怖い夢を見た?」「体調悪いの?」と状況を確認しつつ、その日の娘の動向を普段より気を付けてみるようにしました。

また、就寝時には、妻が子供たちを寝かしつけるので「今日、一番楽しかったことは何?」と訊くようにしています。たまに、楽しかったことを話しているうちに子供が興奮して眠気が吹き飛ぶなんてこともありましたが、心身共に健康の証拠だと思うので良しとしています。
逆に、特にお姉ちゃんの方が「今日は、楽しいことは何もなかった・・・」とコメントすることが複数回あり、そんな日の夜は、妻と次の日の作戦会議をひらいていました。お陰様で今に至るまで、家族皆、心も体も元気に過ごしております。

ちなみに、妻の心の現状把握は・・・現状、習慣化出来ていません。今後の課題です。

「小さい成功体験」・・・信頼を表現する

先ほど、お姉ちゃんがネガティブな発言をすることがあると書きましたが。少し自分に自信がないのではないかと心配してしまうことが、今までもありました。そこで、今回、一日中家にいるからこそ、自分で1日のスケジュールを作成させて、一つ一つスケジュール通りに(場合によっては、時間通りにいかなくても)決めたことをやり遂げたら褒めるようにしました。

つまり、「いつまで」に「何をする」つまり小さな目標設定させて、やり遂げたら、その努力をほめる、そして、次の目標に向かって鼓舞する。このサイクルを回せるように、スケジュール作りを朝食後の日課にしました。もちろん、子供の計画なのでかなり大雑把な計画です。例えば、午前中にオンライン学習をする・漢字の勉強する、午後は、ゲームを1時間する、その後、自由に遊ぶ時間+おやつ、5時になったら九九の練習を夕飯の前までに終わらせる。このくらいの内容ですが、時間を意識しながら、子供ならではの努力を頑張ってしていました(特に、ゲームを1時間で終わらせることに苦労していました)。

脳科学で有名な澤口俊之先生の著書『子どもの脳がぐんぐん育つ「やる気脳」を育てる』の中で、上述の様な好循環を回すことによって、脳内の伝達物質で、「やる気」を増幅するドーパミンが繰り返し出続けることになり、やる気回路が出来上がると言っています。また、その努力をほめられることによって「やり抜く力」が培われ、そこから自信や決断力がつくと言われています。

小さな目標をやり遂げたという成功体験を回し続ける工夫は、実は今でも行っています。週末しか出来ませんが、家族の予定が無い時は、「今日は何をする?予定を立てて皆でやってみよう!」と子供たちに1日のプランを立てさせます。そして、まずはプランが出来上がったことを褒めるところからスタートしています。

余談ですが、お姉ちゃんは、私に叱られた時のインパクトが強いらしく、褒められたことはあまり覚えていないということが、今回の娘との対話から分かりました。その為、最近では、褒めた時のインパクトを出す為に、ハグして大袈裟に褒めています。本人はまんざらでもなさそうです。上述循環を回すことによって、娘の好きな褒められ方も知ることが出来ました。

そして、自分を省みる

林成之先生の「脳に悪い7つの習慣」(幻冬舎)では、「絶対に出来ると思って前向きに取り組んだ方が、脳はパフォーマンスを発揮できる」と言っている。逆に、「無理だ」「出来ない」などは脳にとって否定語になるので、いつまでたっても出来ない言い訳しか考えることが出来ず思考が深まらないとのこと。

「緊急事態宣言」だからこそ、これを機に新たなことをチャレンジしようと思うことが大切であり、その雰囲気を作る為にも、家族皆がポジティブな気持ちをもつことが必要だと感じました。まず家庭内の何を変えればいいのか?・・・自分自身です。私(パパ)ですね。子供は親の鏡と言います。子供は、親の行動から考え方まで真似て、学びます。

余談ですが、ある時、お姉ちゃんが、妹を、鬼のような形相で怒鳴っていました。私も見ていたので、妹に非があることは否めません。しかし、ここまで威圧的に怒っていては効果が無いと思い仲裁に入りました。そこでお姉ちゃんから一言「パパだってそーじゃん(同じように怖い顔で怒鳴っているじゃん)」。お姉ちゃんには、叱っている時の私の姿がそのように見えているということです。ショックを受けた私は、大きな声で怒鳴らないように、「怒鳴り豚貯金箱」を作り、怒鳴った場合には、その貯金箱へ500円入れることを家族に宣言しました。私の怒鳴る頻度が少なくなるにつれて、娘の顔が穏やかになり、大きな声で怒鳴ることが少なくなってきたことには本当に驚きました。

本題へ戻ります。1日中、家族と一緒にいるからこそ、私が、物事を前向きにとらえ、ポジティブに立ち振る舞うことを家族に見せることが必要だと考えました。具体的には、まず、「面倒くさい」「分からない」「難しい」というネガティブな言葉を言わないように心がけました。もちろん、上述言葉を言わないと家族へも宣言しました。その為、「パパ、面倒くさいって言っちゃだめだよ」「今、難しいって言った」と娘からフィードバックもらえるようになりました。もちろん、娘たちが言った場合は、私がフォードバックする。その様な状態が今でも続いております。

一方で、それらの言葉を言わない代わりに「何か手はある。考えろ。考えろ。」を口癖にするようにしました。今では、娘の方から、「パパ、私、ちゃんと考えているでしょ」と、どや顔で言ってくることが多くなりました。また、「パパ、ちゃんと考えてる?」と厳しい言葉をもらうこともあります。

当たり前に動じない子供の「なぜ なぜ?」から学ぶ

ポジティブマインドセットを口癖から変えることに加えて、今までの当たり前を前向きに考え直すことにもチャレンジしています。そのきっかけになったのが、娘たちの「なぜ?なぜ?」攻撃です。テレビを観ていても、本を読んでいる時も、分からなければ「なぜ?」「なんで?」と頻繁に聴いてきます。

ある時、お客様とオンライン会議があった際、娘が自分もPCに映りたいと言ってきます。とりあえず「映っちゃダメだよ」と言うと、さっそく「なんで?」。邪魔になるから、迷惑だからと伝えると、「静かにしているからいいよね。」子供の方が一枚上手です。その時、お客様の方から、「実は、うちも子供が横にいるんですよ。抱っこして会議してもいいですか?」と提案がありました。もちろん、そのお客様との信頼関係があったからというのもありますが、結果、子供も参加して、和やかな雰囲気の中、会議を進めることが出来ました。

その際に反省したことは、子供は邪魔という思い込みがあった為、会議の時に子供がいると困るんだよな、どうすればいいんだ、と狭い視野でネガティブに悩んでいたことでした。改めて「なぜ?子供が会議に映ってはいけないのだろ?」と考え直し、且つ、ポジティブに、子供が一緒に会議に参加してもいいのではないか、何かメリットがあるのではないかと、自分の当たり前を前向きに考え直す機会になりました。

1日中、子供と一緒だったからこそ、私たちが持つ当たり前に子供たちが「なぜ?なぜ?」とクリティカルに突っ込んできます。今では、この忙しい時に・・ではなく、可能な限り「なぜ?なぜ?」を一緒に考えるようにしています。それにより、何か予想しなかったことがあっても、前向きに一緒に考える雰囲気が家族の中で少しずつ醸成されてきています。

最後に

今も共同体として家族のチームビルディングに引き続き挑戦しています。そして、目に見えない家族の絆を強固にする為に、まずは、私自身の意識と行動が変わらないといけないことを改めて気づかされました。「子供が勉強好きになる子育て」(著者:篠原菊紀)では開口一番、「親が勉強好きにならなければ、子供は勉強好きにならない」と言っている。自分が嫌なことを、子供にやりなさいと言っても、「パパだってやってないよね」で終わることは容易に想像できます。だからこそ、まずは自分。

また、私たち夫婦は「娘たちが楽しい未来を自分たちで造れるようになる」というビジョンを持っています。まだまだ、Covid-19の影響でどの様な状態になるのか分からない状態です。今まで以上に、仕事をしている姿を娘に観られる機会が多くなるかもしれません。だからこそ、今も、楽しそうに仕事をしている姿を見せ、パパやママの仕事が誰を助けているのか、子供の「なぜ?なぜ?」攻撃を受けながら伝えるように心がけています。

仕事の愚痴や疲労感ばかりを娘に見せて、「仕事って辛いもの、楽しくないんだ」と思われて、娘達のワクワクする未来を潰したくはないので。
そして、家族と一緒にいられる時間が多くなったことを「ちょうどよかった」とポジティブにとらえて、「見えない情報やつながり」を更に強固にし、輝かし共同体への変容を家族皆で試みることを続けています。

マネージャーに必要不可欠な4つの主要スキルが習得できる「マネジメント・エッセンシャルズ」研修プログラムの詳細はこちら(オンラインでも提供可能)

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