
職場環境に失望?~マドレーヌに聞いてみよう
「このままでいいのか?」迷ったときに考えるべき3つの選択肢とは…?読者から寄せられたお悩み相談に対してブランチャード社マドレーヌ・ホーマン・ブランチャード氏が助言をする人気シリーズ「マドレーヌに聞いてみよう!」の和訳をお届けします。原文はこちら
マドレーヌさんへ
私は大学でビジネスとリーダーシップのコースを履修し、会計学の学位を取得して卒業しました。 昨年の春、中規模の製造会社の財務部門に就職し、現在もそこで働いています。 実務を通して学べることも多く、仕事自体はとても気に入っています。 しかし、大きな驚きがありました。それは、「まともな管理が存在しない」ということです。 当社のCEOやCFOは、私たち社員とはほとんど関わろうとはしません。直属の上司も私に何を期待しているのかをほとんど伝えてくれません。
私は負けず嫌いな性格なので、周囲と関係を築き、誰に何を頼めば仕事がスムースに進むかを把握しているので、何とかやっています。チームミーティングは開催されますが、特に目的があるようには思えません。発生した問題とその解決策について話し合っているだけです。このようなミーティングはたいてい愚痴大会になり、時間の無駄のように感じています。
上司は私に、「1on1ミーティングの時間を自分のスケジュールに設定するように」と指示しました。ミーティングを数回実施しましたが、気まずい雰囲気で、上司はたいてい気が散っているようで、心ここにあらずのようです。上司は私の様子を尋ねてきますが、私は質問をするためだけにこの時間を使っています。このミーティングを有意義なものにしようという意欲がほとんどありません。正直、必要な情報は他で得られるので、私はこのミーティングを避けたいです。
私は週30時間ほどで仕事をこなすことができるので、残りの時間は副業に充てることも考えています。しかしこれが正しい選択だとは思えず、「この会社でもっとできることがあるのでは?」とも思います。それがいったい何なのかはまったくわかりません。とはいえ、これを上司に打ち明けたら、さらに多くの仕事を押し付けられ、かえってストレスになるのではないかと不安です。
私は、成功している企業のリーダーはもっと部下をリードするものだと思っていました。実際は違うようです。今の環境の中で、より多くの価値を引き出すにはどうすればいいでしょうか?
「会社と上司に失望している私」より
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「会社と上司に失望している私」さんへ
プロフェッショナルなら何をすべきか分かっているはず…そう信じていたのに現実は違うとがっかりする気持ち、とてもよくわかります。私も何度も同じような経験をしてきました。企業が成功しているのはその製品やサービスの需要が高いからであって、組織の仕組みが整っているからではありません。長期的なビジョンや戦略はたいてい行き当たりばったりで、組織を支える「人財」に対する配慮は後回しにされがちです。 問題は、「今、あなたはどうすればいいのか?」ということです。どんな状況でも、上手くいかないときに誰もが持っている選択肢は、基本的に次の3つです。
1.現状維持 - 現状を維持し、余った時間をただ楽しむという選択肢があります。 これは不誠実な行動でしょうか? 多くのマネージャーは、メンバーが時間通りに仕事をこなしていればそれで十分と考えています。一方で、もっと多くの仕事や他の仕事をこなせる能力があるのでは?と期待しているマネージャーもいます。あなたのマネージャーは「特に何も言わないのは良い知らせだ」と思うタイプかもしれません。 もう一つ考えられるのは、あなたがまだ知らない業務サイクルが会社にあるということです。おそらく、誰もが忙しい繁忙期があるかもしれません。もう少し様子を見るのもいいかもしれません。
2.状況を変える努力をする - この選択は、多少の努力が必要ですが、将来のためには良い練習になるかもしれません。上司との1on1ミーティングを有益なものにするために、自己責任が求められます。ほとんどの人は、1on1ミーティングの本来の目的は、メンバーのためのものであり、メンバーが主導で実施する必要があるということに気づいていません。 どのようにするか? 目標、タスク、コミットメントについて、自分が考えていることを書き出しておきます。1on1では、それぞれに関連する行動をメモし、上司に進捗状況を報告できるように準備しておきましょう。上司が期待していることすべてを自分が実行していないことに気づくかもしれません。逆に、上司が期待していないことを自分が実行していることに気づくかもしれません。これらを明確にすることで、上司のあなたに対する評価が上がるかもしれません。また、あなたが質問する内容の背景が整理され明確になるかもしれません。1on1ミーティングの質を上げる方法の詳細については、こちらの e-book(Blanchard社の英語サイトに移動)からご覧いただけます。*英語のみとなります
1on1ミーティングの準備に費やした努力は、あなたと上司の両方にとって明確な視点をもたらし、特にパフォーマンス評価の時期には大きく役立つでしょう。これにより、あなたと上司の関係も変化するかもしれません。
3.その状況から離れる - 私の経験では、自分が置かれている状況を変えようと努力をせずに転職する人は、次の職場でもほぼ同じ問題に直面しがちです。 もちろん、すべてがあなたの責任というわけではありませんが、あなた自身もその状況の一部なのですから、自分がその状況の中で果たしている役割を理解することは決して無駄ではありません。
もし何も変わらなければ、いずれ飽きてしまい、より良いリーダーシップと成長の機会を求めて新たな環境へと向かう時がくるでしょう。その時が来ればあなたは決断できるはずです。
あなたが今の職場に幻滅しているのは残念ですが、この現実を知ったことは大きな収穫です。実際、ほとんどの人は、大きな失敗を避けながらなんとかやり過ごそうと、手探りで進んでいるだけなのです。 本気で自分を磨き、優れたリーダーを目指す人はごくわずかです。でも、あなたはその一人なのかもしれませんね!
愛をこめて、マドレーヌより
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マドレーヌ(著者について)

マドレーヌ・ホーマン・ブランチャード(Madeleine Homan Blanchard)は、マスター認定コーチ、著者、講演者、ブランチャード・コーチング・サービスの共同設立者。ブランチャードのトレーニング・プログラム「コーチング・エッセンシャルズ」の共同開発者であり、『ベストを活かし、他を捨てる』、『組織におけるコーチング』、『リーダーシップのためのコーチング』などの著書がある。
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