信頼不足で組織が劣化?その7つの症状は?
「信頼」は全ての人間関係における土台であり、それは職場での関係にも当てはまります。
組織が成功するためには、まずは人々の間に信頼関係ができていなくてはいけません。一方、もし、従業員同士、あるいは従業員とマネジャーとの間で、信頼関係が崩れているとしたら、その組織は病んでいってしまうことでしょう。
信頼関係が崩れている組織では、生産性が下がり、モチベーションが下がり、コミュニケーションが少なくなり、最悪の場合、離職が増えていきます。従業員が居つかない組織は、マーケットでの評判が悪くなり、クライアントの満足度も下がり、新しい人材を雇うのに余計に苦労することになります。
組織のリーダーとしては、組織を成功させるために、健全で信頼に満ちた関係を構築することはとても大切ですね。信頼の欠如によって組織が劣化していくのを防ぐにはどうしたらよいでしょうか。
まずは、その兆候を見極めなくてはいけません。信頼が崩れていくときの7つの前兆をお教えしましょう。
1.前兆の1つは従業員の高いストレス ・レベルです。一説によると、世の中の3分の1の人が仕事でストレスを感じているといいますが、多くの場合、信頼の欠如がその原因です。強いストレスを抱えていると、モチベーションや仕事の成果に悪影響を及ぼします。
⇒本来、従業員は認められていると感じながら安心して働くことができるべきです。
2.マイクロ・マネジメント(過剰な管理監督)は不信感につながります。マネジャーは、自分のコントロール権を失いたくないがために、マイクロ・マネジメントをしようとしますが、それは相手の不信感を強める結果しか招きません。
なぜなら、マイクロ・マネジメントをするということは、マネジャーが自分のメンバーを信頼していないことを意味し、そうと感じたメンバーはマネジャーを信頼できなくなります。さらには、イノベーション、成長、コラボレーションといったことの妨げにもなります。実際、従業員が退職する理由の1つに、よくマイクロ・マネジメントがあがります。
⇒本来、従業員は、ある程度の失敗が許され、自分で意思決定する裁量があると感じられるべきです。
3.従業員エンゲージメント調査のスコアが低いことで、信頼関係にひびが入っていることに気づくことは多いですね。信頼関係の欠如は、従業員エンゲージメントが低くなる主要要因です。従業員が、自分のマネジャーや組織や同僚さえをも信頼できないとき、モチベーションは下がり、自分の意見を述べることを恐れるようになります。
2013年のHuman Capital Instituteの調査では、回答者の80%以上が、効果的に仕事をするためには、リーダーを高く信頼できることが必要だと述べています。ですから、エンゲージメントスコア対策を始める前に、まずは、組織内の信頼関係を調べてみるようにしましょう。
⇒本来、従業員は、最大限頑張ろうという気持ちを持っているべきです。
4.4つ目の前兆はミーティングに現れます。参加者全員が発言しているでしょうか。それとも1人の人がしゃべり続けているでしょうか。オープンな議論や会話がなされているでしょうか。それとも一方的でしょうか。誰しものアイデアが歓迎されるでしょうか。それとも人の発言が軽んじられているでしょうか。
信頼の欠如は、創造的なアイデアや率直なフィードバック、建設的な批判などの妨げとなります。リーダーや同僚が信頼できないと従業員が感じれば、本音を話すこともないでしょう。
⇒本来、従業員は自信を持って自分の意見を述べることができるべきです。
5.信頼感はチームワークの鍵です。信頼が欠如している組織で、優れたコラボレーション(協力)を期待することは難があります。自分のアイデアが馬鹿にされたり、拒絶されたり、他の人に盗まれたりすると思ったら、協力する気にはなりません。
⇒本来、従業員は同僚たちとつながりを感じられるべきです。
6.次の兆候は、一見、矛盾しているようですが、もし、従業員から肯定的なフィードバックや全てが上手くいっているといった話しか出てこないようであれば、信頼関係に問題があるかもしれません。従業員は安心して本音を話すことができるべきです。自分のアイデアを述べるときのみならず、懸念を表明するときも、経営陣にそれを主張し、きちんと耳を傾けてもらえると信じられることが大切です。そのことによって、悪い評価を受けたり、仕返しを受けたりするようなことがあってはなりません。
⇒本来、従業員は本音で語れると感じているべきです。
7.退職率の増加は、信頼の欠如によって組織が病んでいることの最もわかりやすい症状です。マネジャーや同僚を信頼できていない従業員は、組織に身を預けることはしないでしょう。正当に評価されていないと感じているかもしれません。
高い離職率は収益を悪化させます。誰かが辞めれば、採用のための時間と費用がかかり、さらには採用後のトレーニングにも時間と費用がかかるからです。
⇒本来、従業員は自社の成功にコミットする気になっているべきです。
信頼問題が生じると、組織の業績が低下するだけでなく、組織文化も崩壊していってしまいます。これらの7つの前兆に目を凝らし、取り返しのつかない状態になる前に手を打つようにしましょう。
組織で信頼関係を構築する方法は意外にシンプルです。ここで紹介するのは、ABCDの4つのステップからなる信頼のモデルです。誰にでも覚えやすく、実践しやすいものです。
A Able (能力がある)
知識、スキル、経験を示している
B Believable(信じられる)
真実を語り、個人そして組織の価値観に沿って行動している
C Connected(つながりがある)
親切で、思いやりがあって、他者が元気でいるか気にかけている
D Dependable(頼りになる)
約束したことを必ずやり通している
「信頼」は組織文化の土台にあるべきで、人間関係を始める時点で信頼を構築していくことを意識すべきです。それは上司部下の間だけではなく、職場のすべての人々の間柄で必要なことです。
一方、「信頼」は、話題として取り上げづらく、そこに問題があることを認め、解決しようとしづらいものです。しかし、従業員の活躍と組織の発展を願うのであれば、従業員が互いに信頼し合える関係を構築できる安全な環境を整えなければいけません。さらには、信頼が崩れてしまったとき、それを修復する方法を知っておく必要があります。
自分の組織で「信頼の欠如」という問題を抱え悩んでいる方がいたら、その状態を放置せずに、ブランチャードの「信頼関係の構築」プログラムを受講してみてください。すべての階層の人が、このプログラムを通じて、信頼関係を構築し、ひびが入りそうになったときに修復する術と言語を習得することができます。
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※本記事は、ケン・ブランチャード社のEBOOK「7 Warning Signs That Distrust Is Harming Your Organization」の内容をブランチャード・ジャパンが和訳したものです。原文はこちら
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