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2023年の人財開発・教育研修の注目ポイントは? ―ブランチャード2023 Learning & Developmentトレンド調査
ケン・ブランチャード社が毎年行っている人財開発・教育研修の動向に関する調査結果の速報が出ました。世界中の企業の約700名の人財開発・教育研修の責任者や担当者が回答しており、アンケートは10月に行われています。2023年の世界における研修提供方法、人財開発の予算、求められるスキルはどうなるのか、早速見ていきましょう!
人財部門が2023年に直面する4大課題
最初の質問項目は、人財部門が2023年に向けて直面する課題について自由記入方式で尋ねるもので、テキストマイニングの結果、次の4つの課題が見えてきました。
1. キャパシティとリソースの確保
・・・人財関連のニーズが高まる中、人員や予算の確保で苦労している様子が伺えます。またリソースが足りないのは人事部門だけでなく、育成対象者が学習するための時間を確保することも難しくなっています。
2. 離職率の低減
・・・これは、特にGreat Resignation(大量辞職)の波に見舞われた北米で顕著な課題かもしれません。
3. 従業員エンゲージメントとエクスペリエンス
・・・「従業員エクスペリエンス」は近年、浮上してきた概念であり、仕事の意義を感じ、ウェルビーイングを維持することで、エンゲージメントを高めることが重要になってきています。
4. ハイブリッド環境下での文化構築・維持
・・・新型コロナの蔓延や収束の状況は各国様々ですが、ハイブリッドな働き方が定着してきたのは共通のようです。そんな中、どのように企業文化を構築したり維持したりするかが新たなる課題です。
研修提供方法はどうなる?
以前は、研修といえば対面式で集合するのが主流でしたが、新型コロナによって、バーチャル式やEラーニングが大きく増えました。2023年はこの3種類の研修提供方式が、3分の1ずつくらいになっていくことが予想されています。
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ただ、このような区分の仕方は徐々に意味をなさなくなってきているかもしれません。というのも、アンケート回答者のうち56%は、新しい研修方式である「ラーニング・ジャーニー」を取り入れる予定だと言っています。典型的なラーニング・ジャーニーは、6週間程度の期間の中で、学習者は業務をしながら、対面で集合して研修を受けたり、バーチャルで集合したり、Eラーニングで自習したりという「学習の旅」を体験します。業務と学習をブレンドさせることが鍵です。
リーダー育成予算は増える?減る?
さて、多くの回答者は、人財部門の2023年の優先課題として、リーダー予備軍を育成することを挙げていたのですが、予算はどうなるのでしょうか。平均すると、リーダー育成のための予算は2022年よりも1割から3割増えるという結果になりました。このアンケートが実施されたときは、すでに金利上昇による景気圧迫の懸念が大きく報道されており、そうした中でも、これだけ予算が増額される見込みが示されたということは特筆すべきことでしょう。
リーダーが習得すべきスキルは?
では、リーダーはどのようなスキルを習得すべきなのでしょうか?選択式の質問で、92%もの回答者が「とても重要になる」スキルと選んだのが「人財を育成し、エンゲージすること」でした。
さらに、70%以上の回答者が「とても重要になる」と選んだリーダーのスキルは、変革プロジェクトの推進・支援、目標と優先事項の設定、インクルージョンと帰属意識の醸成、優秀人財の採用とアップスキリング、従業員レジリエンスの強化、イノベーション推進の6つでした。
さらに、約700名の回答者のうち500名以上が自由記入欄に挙げたリーダーのスキルを集約すると、次の8つになります。
- 共感と思いやり
- アジリティ、適応力、イノベーション
- コミュニケーションスキル
- クリティカル思考、戦略立案、問題解決
- コーチング
- レジリエンスとウェルビーイングの醸成
- 自己認識
- ハイブリッドまたはリモート環境でのリーダーシップ
これら全てをまとめたのが次の図です。皆さまの組織が考える「2023年に求められるリーダーのスキル」のリストと比較するといかがでしょうか。
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人材開発・教育研修のパートナーとして:ブランチャード・ジャパン
このような動向を踏まえながら、ブランチャード・ジャパンは2023年も、クライアント企業様の人財開発・教育研修を全力でご支援してまいります。好評をいただいております「C&M方式セルフ・リーダーシップ」プログラムでは、ラーニング・ジャーニーという新方式を体験することができます。また、リーダーに最も求められるスキルである「人財の育成とエンゲージ」にはSLII®プログラムが有効です。
来年の研修企画に向けて、どうぞお気軽にお問合せください。
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