2022年ATD現場レポート
今年もATD(The Association of Talent Development)の年次カンファレンスが開催されました。ご存知の通り、ATDは能力開発・人財育成の分野における世界最大級のイベントであり、コロナ禍以前は世界中からこの分野の人々が大挙して米国の会場まで足を運んでいました。我らがケン・ブランチャード氏は「ATDのレジェンド」と称され、彼の周りにはいつも人だかりが。ブランチャード・ジャパンでもクライアントの皆様等とスタディ・グループを編成して渡米し、ブランチャード氏との交流などを行っていました。
残念ながら、この3年間は、この企画を棚上げする他なかったわけですが、本年5月に開催されたATD2022に参加したケン・ブランチャード社のアン・ロリンズ(チーフ・ソリューションズ・アーキテクト)がその様子を報告しています。会場の熱気が伝わってくるようです。
Five Takeaways from the 2022 ATD Conference (kenblanchard.com)
(Ann Rollins, May 22, 2022)
以下は記事の和訳です。
ATD(The Association of Talent Development)年次大会は、能力開発・人財育成業界を代表する会合のひとつです。そこには、世界各地から参加者が集います。私は、今年は参加者としてだけでなく、スピーカーという立場でも参加することとなりました。同僚で親友のブリットニー・コール(ケン・ブランチャード社イノベーション担当バイスプレジデント)と共に、デジタル認定証をテーマに講演しました。
さらに、私はATDについての記事を書くことになっていたので、カンファレンスの間ずっと記者の役割も担いました。ここでは、私が会場で目にしたこと、そして、感じたことを5点ほどご紹介します。
ナイキのスウッシュ
カンファレンスにいた大勢の人々を見て、ナイキのスウッシュを思い出しました。(注:ナイキのロゴマークであるスウッシュは「ビューンというような躍動感」を意味する。)昨年は、参加者が大幅に減少しましたが、今年は全く違う様相でした。展示会場に足を踏み入れた瞬間、「We're BACK!(戻ってきた!)」という感覚が湧いてきました。恐らく来場者は数千人にのぼったのではないかと思います。とにかく昨年より大幅に増えていました。とはいえ、コロナ禍以前の来場者数に戻るには至っていません。
何よりも良かったのは、会場が活力で満ち溢れていたことです。皆々が、集うことに飢えていて、3年ぶりに友人や同僚に会うことを待ちわびていたようです。多くの喜びの再会を目撃しましたし、私自身にもたくさんの感激の再会がありました。
私たちは皆、3年間分、歳をとりました。目のまわりに新しい”カラスの足跡”ができた人もいました。少し太った人、少し痩せた人、少し白髪が増えた人もいました。それら全ては3年間という人生の一部の結果だと受け止めました。とにかく、久しぶりに多くの同僚に会えたことが嬉しくて、時には、涙が出そうになることもありました。
新興企業が数多く出現
数社の大手ベンダーの出展がありましたが、出展を見合わせた大手企業も少なくありませんでした。その結果、多数の中小ベンダーがスポットライトを浴びる機会を得ました。先月のラーニング・ソリューションズ・カンファレンスでも同様のことが起きていました。
まずもって気づいたのは、リーダーシップに関するサービスを提供する新しいベンダーが数多く出現していたことです。また、新しいDEI(注:ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)のソリューションを提供する企業も多く見受けられました。これらの新興企業について、その理論やモデル、そしてそれらを作った専門家やチームや土台となる研究がどんなものなのか気になりました。ちなみに、我がケン・ブランチャード社では、必ずデータに基づいて理論を開発しています。
幾つかの理由により、ケン・ブランチャード社は今年、出展しませんでした。が、出展しなくとも、ケン・ブランチャード社は至るところで存在感を発揮しました。ATDブックストア、サイン会、トップゴルフでのパートナー&クライアントイベント、そして栄えあるATD BEST賞のスポンサーを務めました。このスポンサーシップを通じて、最も優れた能力開発事例を目の当たりにし、大変光栄に思います。受賞者の皆さん、本当におめでとうございます。それだけではありません。ケン・ブランチャード社のメンバーたちは、さまざまなトピックで講演を行いました。カンファレンスの期間を通じて、ケン・ブランチャード社はあちらこちらで活動していました。
ケン・ブランチャードと、弊社における「信頼関係構築」の分野のリーダーであるランディ・コンリーは、新刊『Simple Truths of Leadership: 52 Ways to be a Servant Leader and Build Trust』について講演を行いました。スコット・ブランチャードと弊社のパートナーであるジェニファー・ブラウンは、「インクルーシブ・リーダーシップ」について講演しました(詳細は以下をご覧ください)。
弊社のシニア・コンサルティング・パートナーかつモチベーション分野の大家であり、ケン・ブランチャードと『Self Leadership and The One Minute Manager』を共著したスーザン・ファウラーは、「オプティマル・モチベーション」について講演を行いました。
]弊社のソリューション・アーキテクトのベッティ・ダンネウィッツは「イマーシブ・テクノロジー(没入型技術)」について講演し、もちろん、私もブリットニーと共に壇上に上がる機会がありました。
最高のセッション
私は何年もATDに参加してきましたし、数え切れないほどのスピーカーも見てきました。ATDの技術知識プログラム諮問委員会の委員にもなりました。そして、この分野における6つの国際会議体の何百ものセッションに参加してきました。私がこれまで参加したどのカンファレンスと比べても最高のセッションの一つといえるのが、今回の、スコット・ブランチャードとジェニファー・ブラウンによる「インクルーシブ・リーダーシップ」に関する講演です。
この講演では、会場の参加者はまるで舞踏会のシンデレラのように、いつまでも終わらないことを望んでいるような気分になっているようでした。「あともう2時間くらい座っていられる......」という声が聞かれましたが、私も同じ気持ちでした。
ケン・ブランチャード社のパートナーであり、「勇気あるインクルージョン」という研修プログラム(近日リリース予定)を弊社と共同開発したジェニファー・ブラウンが、ダイバーシティ&インクルージョンについて語ったのですが、本当に素晴らしかったです。彼女は、多様性の要素を氷山に例えて次のように説明しました。
「私たちは氷山の先端を見ることができますが、ほとんどの要素は水面下にあります。多様性とは、目に見えるものよりもずっと多くのことを意味します。宗教、出身地、介護の状況、性自認、メンタルヘルス(通常、あまり取り上げられることはありませんが)など、実にさまざまな要素があります。人として経験すること全てが含まれるのです。」
ジェニファーの講演を聞き、「勇気あるインクルージョン」研修プログラムは、開発するのにやや時間がかかったものの、待つだけの価値があったと確信しました。そして、このプログラムは世界を変えることになるでしょう。
舵を切る
新型コロナ禍に見舞われ、ケン・ブランチャード社が大きく舵を切らねばならなかったことは周知のとおりです。それまで私たちは、対面式でリーダーシップ開発のサービスを提供していましたが、バーチャル、デジタル、そしてブレンディッド(複合)の提供方式に移行するのであれば、それは世界最高レベルのものでなければならないと考え、実行しました。
ATDでは、多くの企業にとって、バーチャル、デジタル、ブレンデッドへの移行が途上であることに気付きました。また、効果的なハイブリッド学習方式をどのように構築するか、まだ悩んでいる企業もあるようでした。ハイブリッド学習に関するセッションの数の多さからも、このトピックに対する関心の高さがうかがえたと共に、我が社が成し遂げた変革がいかに驚異的なスピードであったかを思い知らされました。
ネットワーキング・ナイトに拍手喝采
カンファレンス最終日の夜は、ユニバーサル・オーランド・リゾート内の「ハリー・ポッターの魔法の世界」にて開催されたATD2022ネットワーキング・ナイトに参加しました。この夜はあいにくの雨だったのですが、雨だったからこそ、新旧の友人と一緒にゆっくりと過ごすことができました。今思えば、もしあの晩、すべての乗り物に興じていたら、友人たちと会話をする間もなかったことでしょう。あの会話以上に良い時間の過ごし方はありません。ATDの仲間たちは、この夜のために多大な努力を払ってくれました。ATDのICEプログラミングチームの皆さん、素晴らしい夜をありがとうございました。
原文はFive Takeaways from the 2022 ATD Conference (kenblanchard.com)
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