「怖い上司」の対処法~マドレーヌに聞いてみよう
ケン・ブランチャード社のウェブサイトには「Ask Madeleine」(マドレーヌに聞いてみよう)というコーナーがあります。マドレーヌ・ホーマン・ブランチャード氏は、ケン・ブランチャード社のコーチングサービス部門共同創設者であり、経験豊富なコーチです。この「マドレーヌに聞いてみよう」では、読者から寄せられたお悩み相談に対して、マドレーヌが助言をします。
今日は、このコーナーに2021年2月6日に掲載された「『怖い上司』への対処法」をご紹介いたします。
マドレーヌさんへ
私はある製薬企業の研究開発部門のチームリーダーです。メンバーは皆、科学の専門家または技術者で、その仕事は面白くて楽しいものです。私は自分のチームを管理するのが本当に好きだし、メンバーとも上手くやっています。
困ったことに、新しく着任した上司は最低です。前の上司は素晴らしい方でした。彼は親切で頭が良く、私たちの創造性を引き出し、問題があれば解決に導いてくれました。新しい上司のことを私たちは陰で「アイスキング(氷の王様)」と呼んでいます。新しい上司は外部から採用された人で、私たちのことを気にかける様子がありません。冷たくて意地悪な人です。
ミーティングの最中、彼のことが怖くて仕方ありません。彼は時間ぴったりに入室し、会議のアジェンダを配ります。そのアジェンダは事前にも送信してくるのですが、誰が何を準備すべきかについて明確な指示が書かれています。彼は決して微笑むことも、笑うこともありません。彼はOKのときは、顔をしかめたままうなずきます。彼がOKでない場合、またはエラーを見つけた場合、烈火の表情で、「これは間違っています、修正するように」と言います。
私がこれまで共に働いた上司のほとんどは、部下と1対1のミーティングを持っていました。私も自分のチームメンバーとやっていますが、今度の上司とはやっていません。正直なところ、彼といるのは苦痛なので1対1ミーティングが行われなくて良かったです。ただ、数か月後に予定されている業績評価面談は恐怖です。
どうすれば彼を明るくて感じの良い人にすることができますか?
「怖い上司に悩める者」より
「怖い上司に悩める者」さんへ
彼を明るく感じの良い人にしたい?それはできません。まあ、やってみてもいいですが、おそらくあなたの時間と労力の無駄遣いに終わるでしょう。あなたが他人を根本から修正することはできません。人は変わる可能性がありますが、私の経験では、それは稀であり、本当に説得力のある理由が必要です。
その代わりに、自分自身を変えることに注力するのです。そうすれば、はるかに良い結果を得られるでしょう。
「彼が怖い」と言いますが、あなたは、上司の行動があなた個人に向けられていると思ってしまっていますね。実際、全くそういうことではないのにも関わらず。あなたは以前の暖かくて「曖昧な」上司が恋しいのですね。その上司がいなくなって残念ですね。一方、あなたの新しい上司は、かなり「内向的で分析的」という個性を持ち、前の上司とは正反対の方のようです。彼はあなたを個人攻撃しようとしてはいませんよ。
こう考えてみてはどうでしょう。アイスキングは非常に分析的で、正確さと事実だけに興味があり、対人スキルはゼロであり、本来の彼とは異なる人物に変身してほしいと部下たちが思っていることに当惑していると。
あなたの話からすると、完璧ではない仕事をしてしまった場合を除いて、恐れることは何もないのではないですか。完璧ではない仕事をしてしまった場合でも、彼はあなたの間違いを指摘し、あなたはそれらを修正するだけのことです。アイスキングは、少なくとも明確さ、一貫性、確実性をチームにもたらしています。それは良いことです。アイスキングが違う人物に生まれ変わるよう望むのを止め、彼が彼であることを受け入れ、その性格をOKとし、彼はあなたを責めているわけではないと認識した瞬間から、あなたはずっと気分が良くなるでしょう。こういうタイプの人との付き合い方はおわかりですね。ファクト、事実を中心に。社内政治も隠された意図もありません。時間通りに予算内で正確に作業を完了するだけです。
業績評価面談に向けては万全の準備をしましょう。熟考し、漏れをなくし、何よりも正確であることを確認してください。そうすればきっと大丈夫ですよ。あなたが彼を裁くのをやめれば、驚くような関係性を彼と築けるかもしれません。
あなたは明らかに暖かくて楽しく協力的な雰囲気を好むようですね。いいでしょう。あなたは自分のチームで、そうした雰囲気を醸成していくことができます。アイスキングにとってそうすることは重要なことではないのでしょうが、かまいません。好みの違いは、重要な問題ではないのです。なのに、無理に好みを一致させようとするから、問題が生じるのです。
マドレーヌより
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