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SLII®導入企業事例

SLII®実践の徹底により人財育成を加速させる

ブランチャードの認定講師の方が集う「トレーナーズ・ネットワーキングの会(2019年7月19日開催)」にて、ファイザー株式会社GCOトレーニング スキルトレーニングの部長の高橋伸也様に、SLII®を社内に浸透させる取り組みについてご講演をいただきました。以下に、その内容をご紹介いたします。
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ファイザーは、ニューヨークに本社を置くグローバルな製薬企業で、ファイザー日本法人は1953年に設立されました。医療機関で処方される医療用医薬品の製造・販売・輸出入を行っており、循環器、中枢神経、疼痛、炎症・免疫、がん、希少疾病、ワクチン、感染症、泌尿器、眼科などの幅広い疾患領域で事業を展開しています。現在は約4800名の従業員を持つ大手製薬企業のひとつです。

弊社では古くからSLII®を導入しており、2000年以降、研修が行われています。現在は、新任ラインマネージャー研修に組み込まれており、年に2回、ラインマネージャー昇格者に必ず受講してもらっています。したがって、弊社にいるラインマネージャーの全員がSLII®を受講していることになります。また、SLII®は全世界のファイザーでもマネージャーの研修に組み込まれており、必須研修のひとつになっています。

このような状況において、営業のファーストライン・マネージャー(弊社では営業所長)に対して、改めてSLII®のフォローアップ研修を実施しようと考えた背景についてお話します。
皆様の会社でも働き方改革の中、更なる生産性の向上や人財育成が課題になっているのではないかと思いますが、弊社も例外ではありません。ラインマネージャーには、率いるチームとしての結果が求められ、人財の育成についても責任を負っています。今までより短い、限られた時間の中で、ビジネスおよび人財育成について成果を出すことが求められています。
私たち社内トレーナーは、トレーニングを実施することがひとつの役割ですが、研修で学んでもらったスキル、知識を受講者がそれぞれの現場で実践して、初めてトレーニングの価値につながると考えています。今の環境の中で、一人の社員として、また社内トレーナーとして会社全体の生産性向上、人財育成の加速化に何ができるかを考えた時、SLII®が社内に浸透している状態を思い浮かべました。すなわち全てのラインマネージャーが俗人的な経験から部下を育成するのではなく、優れたSLII®のフレームワークを活用している状況になっていれば、更に人財育成を加速させ、結果も出だせるようになり、生産性の向上にもなると考えました。

前述の通り、理論的には既存の全ラインマネージャーはSLII®を受講していますが、その行動が確実に取られている訳ではありません。新任ラインマネージャーにはSLII®を受講した1年後にフォローアップ研修を行っていますが、その後は特別な追加研修も実施していません。そこで改めてSLII®を人財育成スキルとして共通言語、共通スキル化し実践することを目標としてSLII®で求められるリーダーの行動の実践度を測ることにしました。
まず、各事業部の営業部に対して、SLII®の実践度合いについてアセスメントを行い、必要に応じて再度習得し直すことを提案しましたが、難しい現状もありました。トレーニングやアセスメント自体も労働時間として捉えられる昨今ですので、今回の取り組みに賛同いただけない部門もありました。
皆様はご承知のとおり、SLII®には「フィットネス・テスト」という実践度を測るアセスメントツールがあります。それを使ってアセスメントすることが望ましいのですが、40問程度あり、回答に20-30分かかります。この時間を多忙なラインマネージャーに依頼することは回答者の負担になると考え、数分で完了し、かつ包括的にアセスメントできる方法を考えました。ブランチャード・ジャパンの本石さんのアドバイスもいただき、最終的には、7問に絞り込んだアセスメントを独自に作り、営業部の合意を得ました。
アセスメントは、webのアンケートシステムを用い、マネージャーとその部下の両方に回答してもらいました。部下向けにはリーダーの部下育成行動に関して「続けて欲しいこと」、「改善して欲しいこと」の2点に関してのフリーコメントも記入できるようにしました。
質問はSLII®で学び実践すべき行動にフォーカスしていて、目標設定・開発レベル診断・リーダーシップスタイルの3つの分野から成り、回答は行動の頻度を「フィットネス・テスト」と同じ6段階で評価します。「フィットネス・テスト」には合格基準はありませんが、部下評価において「50%以上の割合で実践している」と回答されていれば、今回はフォローアップ研修の対象から外すことにしました。

一般的には、リーダーの自己評価の方が、メンバーの他者評価より高いことが多いのではないかと思いますが、実際のアセスメント結果を見ると、予想に反していました。
目標設定・開発レベル診断・リーダーシップスタイルの3項目とも、約80%のリーダーに対するメンバーの評価は、「いつもできている(実施レベル90%以上)」、「ほぼできている(実施レベル89~75%)」でした。これに対して、約90%のリーダーは「「ほぼできている(実施レベル89~75%)」、「大体できている(実施レベル74~50%)」と自己評価していました。むしろマネージャーの方が、部下が思っているよりも自分の行動の実施頻度が低いという厳しい評価傾向でした。一方、メンバーからの評価でリーダーシップ行動の実施頻度が50%に満たなかった人は、アセスメントを実施した136名のうち、9名(7%)で、今後フォローアップ研修を受講いただきます。
アセスメント結果は、レポートを作成し、各マネージャーにフィードバックしました。スコアーとしては、基準とする頻度で行動できているリーダーが大半でしたが、部下からのフリーコメントには、「~については、もっと任せて欲しい」、「~については、具体的な指示が欲しい」とか「更に意見を聞いて欲しい(傾聴して欲しい)」など、点数だけではわからない生の声が寄せられており、リーダーにとっては自身のリーダーシップスタイルの使い分けを更に改善するための貴重な情報になったのではないかと思います。

SLII®の共通言語、共通スキルを浸透させるため、SLII®受講者がいつでもその内容を簡単に確認できるeラーニングを今年、作成しました。このeラーニングは、SLII®受講者がブランチャード・ジャパンから提供されている「SLII®を他者に教える」のスライド等、受講者が使用を認められている資材を使って、社内トレーナーが自作しました。「なぜSLIIを実践するのか」というSLII®を学ぶ意欲を高めるためのパートを含め、SLII®研修の中で学ぶ「目標設定」、「開発レベルの診断」、「リーダーシップスタイルのマッチング」、「ミスマッチの解消方法」、「後退サイクルへの対処」のほか、「各種ワークシートの使い方」を解説した7つのポイントで構成されています。一つのコンテンツは、10分程度で視聴できるので必要なものだけを簡単に確認することができます。
eラーニングで用いているスライドは、SLII®受講者が部下にSLII®を教える際に使えるパワーポイントを使用しています。しかし、認定トレーナーがそれを使ってSLII®を教えており、ブランチャード社との取り決め上、SLII®受講者が部下にSLII®を理解させるためにこのeラーニングを使用することはできないため誤った使い方をされないようにeラーニングには、既受講者の復習用であること、および未受講者は視聴できないことを注意喚起しています。
フォローアップ研修の対象者には、まずこのeラーニングを受講してもらいます。フォローアップ研修の対象にはならなかった人にも、フィードバックレポートにリンクをつけ、受講を推奨しました。eラーニングを受講した上で、バーチャル(Web)方式でさらにSLII®の理解を深め、フィードバックレポートをベースに自ら取り組むアクションプランを作成し、実践してもらいます。その3か月後に、再度アセスメントを行い、実践度合いに改善が見られたのか、メンバーにニーズが満たされ、開発レベルが改善されたのかを確認する予定です。
今後は、対象者のスコープ広げ、営業部以外にも展開することを人事部と検討していく予定です。

弊社の取り組みが、他のトレーナーの皆様に少しでもご参考になれば幸いです。ありがとうございました。

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